神社でままマルシェ実行委員会 代表



子育てママの孤独と不安を体感して


埼玉県の市町村の中で5番目に人口が多い越谷市。
都内へのアクセスも良く、東京23区内に通勤・通学する市民も多い、いわゆる「ベッドタウン」です。
若い世帯も多く住む越谷市で産まれる赤ちゃんは、一年で3,000人近く。
増田具子(ますだ・ともこ)さんもまた、そんな越谷市でママになった一人でした。


増田さんは、2016年に第1子を出産しました。
ところが、「完全に息子中心の生活になり、夜は眠れない、コンビニにも行けない。知り合いもおらず、子育ての悩みも誰にも話せず、ただただ不安でした」
と、育児に絶望を感じていた当時を振り返ります。


息抜きにと、息子さんを連れていろいろなイベントに出向くようになった増田さん。
子連れでは参加しにくいイベントがあることに気付きます。
「堂々と小さい子どもを連れて行っていい場所って、探すのがすごく難しいと実感しました。
子どもの泣き声も、周りの迷惑じゃないかな?とか、どこへ行ってもすごく気になってしまって」。


これだ!と選んで行ったのが、「ママでも参加可能」だった近隣の吉川市のマルシェでした。
温かく迎え入れてもらったことに感動し、主宰者に「ぜひ越谷でも開催してほしい!」と直々に依頼、2018年に越谷で「神社deままフェスタ」の開催が実現されました。


「『近くで毎月あればいいな』と思いましたが、市外の主宰者に毎月実施してもらうことはできませんでした。だったら、自分でやってみよう!と思ったんです」。


こうして、2019年6月、増田さんは第1回「神社deままマルシェ」の主宰に踏み切ります。


 


「ままマルシェ」を越谷でスタート!


増田さんが立ち上げた「神社でままマルシェ実行委員会」の活動は順調に軌道に乗り、毎月第3金曜日に「神社deままマルシェ」が行われるようになりました。
越谷市大沢にある越谷香取神社を会場に、これまで24回のマルシェを実施。
さまざまなワークショップやハンドメイドの雑貨販売、フォトブース、キッチンカ―の飲食店、フリーマーケットなどが並び、境内はお祭りのように賑わいます。



越谷香取神社境内で開催されている


ママと子どもで賑わうマルシェ。参加者は毎回平均400人前後にもなる

このマルシェ、育児中のママのために、隅々まで配慮が行き届いています。
開催時間は「上の子が幼稚園や小学校に行っている時間に参加できるように」と平日10時から14時に設定。
大学生サークルが、神社の社務所内で託児をしてくれるサービスもあります。
市内の子ども関連の団体の協力を得て、子ども向けの遊び場も作りました。
「越谷が地元ではない人」「離乳食教室」など、テーマごとに集まって話し合う「子育てサロン」や、保育士による子育て相談会なども開催。

増田さん自身の、子育て中の大変だった体験があちこちで活きています。



大学生中心の多世代サークル「こずもす」の力を借りて、託児サービスを実施

増田さんは「『子どもを産んでよかった』と心から思える世の中にしたい」と語ります。
「特に、0~3歳という就園前の子どもをもつママたちは、孤立しています。
 その方たちを支えたい。
『越谷にままマルシェがあって良かった』と思ってもらえれば嬉しいですね」。
子育て中のママたちの助けになりたい、その情熱が増田さんの原動力です。


さらに驚くのは、出店する人の半数以上もまたママだということ。
ままマルシェには「チャレンジ出店」という枠があり、「お店を出してみたい」「自分のやりたいことを仕事にしたい」というママたちへのきっかけづくりにも一役買っています。
マルシェ出店のための講座も開かれ、学びたいママたちが勉強することもできます。
ままマルシェは、女性の起業支援にも重要な役割を果たしています。


 増田さんは、マルシェで大事にしているのは「多様性」だと話してくれました。
「ひとくくりに『ママ』と言っても、参加したい方法、参加できる時間、求めること、みんな違います。
なるべく多様な対応ができる仕組みづくりを考えています」。


いろいろなママたちをさまざまな角度から支えて、みんなが笑顔になれる、そんな空間を目指しているそうです。


 


ままマルシェで地域全体を明るくする!


ままマルシェには、明治安田生命やワールドファミリー、明治や花王といった協賛企業もたくさん関わっています。
また、越谷市内や近隣の市で子育て支援のために活動している人や団体とも、たくさん知り合えたそう。


「ご協賛、応援など関わってくれる人たちに返せるものが何かを考える。
お互いが求める結果、望むことを明らかにして信頼関係と協力関係を築きながら協働することにより、単体では生み出せない効果を発揮することができます。
さらに市内で活動している人たちを繋げて、それぞれの課題を共有して解決に向かえばさらに広い支援活動ができるのではないか、と考えています」と増田さん。



越谷では、会う人会う人が増田さんを知っている

単純な「お祭り」のような枠は飛び出して、たくさんの地域の人や企業、団体を巻き込みながら、ままマルシェの活動は広がりを見せています。
エネルギーに満ち溢れ、広い人脈を持っている増田さん。
これからもきっと子育てママと子どもたち、さらには越谷のために、たくさんの楽しい仕掛けを作っていくことでしょう。


増田さんたちの進化する活動に、今後も目が離せません。



◎レポート by さいしん地域レポーター 伊藤先生


 


神社deままマルシェ
https://mamafes.info/koshigaya/
毎月第3金曜日に開催
埼玉県越谷市大沢3-13-38 越谷香取神社内
東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)北越谷駅東口より徒歩4分